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一般社団法人日本歯科技工学会 第38回学術大会

一般社団法人日本歯科技工学会 第38回学術大会      

 

抄録              大阪府 貝原紘一

 

 

日常臨床においてフルブリッジの場合や総義歯の場合は新たな咬合を与える必要があります。その際にきっちりとした基準点がなければ再現性のない行き当たりばったりの治療になってしまいます。考えてみればどんな人でも乳歯列は殆どと言って良いほど正常で、これが永久歯に生え変わるにつれて歯並びや高さが変化していき、成長か止まる25歳前後の成人になると、歯並びも歯の抜け方も人によって様々です。歯並びが原因で顎の変形が始まり、かみ癖の固定により歯の摩耗や喪失が始まっていきます。たとえば日常臨床で良く目にするかみ合わせとしては、上顎の2番が舌側に入り込んで交叉咬合になっているものや下顎の5番が舌側に倒れ込んでいるものなどがあり、こういう場合左右のバランスが崩れている場合が多いにもかかわらず、きれいに並べることだけを主眼として補綴をしてしまうと後で大変なことになるかもしれません。また、咬合の機序は下顎前方運動から、とあるのに日常臨床ではほとんど平面板さえ使用されていないのが現実です。そのため、私は必ず大きな補綴をする前に模型を診断して今の咬合がどういう状態でどう治療を勧めていけば良いのか考えてから治療するようにしてもらっています。そこで、有歯顎でも無歯顎でも変化のない骨を基準点に求め模型を診断するのです。その基準点を基本にして歯がある場合も、総義歯の場合も、これから成長する矯正の歯を動かす場合も模型診断をしてから治療をして貰います。私は、2008年大阪大学歯学部同窓談話会で、地球上の人類は大きく分けて4種類の民族があるが、大まかにはコーカソイドとモンゴロイドの2種類の内日本人はモンゴロイドに属していて、日本人の中に縄文人と弥生人にと分れると言うことを発表した。それは、口蓋の深く下顎は浅い弥生人と口蓋が浅く下顎は深い縄文人に分けた。咬合平面や咬合様式を分類して咬合のシステムの違いも有ることに着目して治療やその調整に役立てています。我々は骨に基準点を求め模型を診断しています。その基準点を基本にして歯がある場合も、総義歯の場合も、矯正をして歯を動かす場合も模型診断をしてから治療に役立てており、フルブリッジ、インプラント、デンチャー、顎関節症の治療等の際にも基本情報として模型を診断しておくことは治療のみならず咬合崩壊の予防にも役立つことと思います。また、口蓋皺壁の形にも咬合の軌道が皺壁に形として現れているのです。そしてその患者さんの顔色・姿勢・表情も良く観察することが必要です。顎関節症の場合も咬合高径を高くするのではなく、足らない部分に補って左右均等に正しくかめるように装置を作り、歯はあくまでも原因の一つであって、全てではありません。咬合つまり筋肉の動きを理解し関節円板がどのようにしてずれてきたのかを考えずに全顎にマウスピースでバイトをあげて口を開ければよしとした歯科治療では患者に申し訳ないのです。一般に補綴物を作成する場合でも“歯医者は技工士任せ、技工士は作りっぱなし”でお互いに意思疎通がうまくいかなくて困っているのが実情だと思います。 最後になりましたが、私がこの様な事に目覚めたのは、東京歯科研究会の市波冶人先生の主催された「いわいる下顎位症候群の実際」3年6ヶ月のセミナーで人類学・骨学・筋学・脈管・人体解剖などを受講した事です。

 

これからの技工士教育は、4年制に移行するので、是非人類学・骨学・筋学・脈管・人体解剖このような教育を取り入れて頂きたいと希望するものです。